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守り姫の夢
01

昔、
永い眠りについた女の子がいました。

その女の子がいる村は、女の子の不思議な力に守られて、
寒さに震える事も、空腹に苦しむ事もなく、
皆が幸せに暮らしていました。

けれど、
女の子は永い眠りについたまま、
目覚める事なく、
終わる事のない永い夢を見続けていました。

女の子のところへは、
毎日一人の男の子が訪れていました。

男の子は、
眠ったまま目覚めない女の子を起こす為に、
毎日通っていたのです。

女の子が眠ったばかりの頃は、
たくさんの人が女の子のもとを訪れていました。

けれど、
一向に目覚める様子のない女の子に、
女の子を訪れて来る人は、一人、
また一人、と減っていき、
今ではこの男の子
一人だけになってしまいました。

男の子は毎日、女の子に話しかけました。

「今日はとても天気がいいよ」

「広場でゲームをしたんだ」

「キミも一緒だったら、もっと楽しかったのに」

「いつまで眠っているの?」

「早く起きて、ボク達と一緒に遊ぼうよ」

けれど女の子は眠ったまま、
目覚める事はありませんでした。

「また明日来るね」

そう言って、男の子は毎日帰って行きました。

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アルファポリス掲載版
守り姫
シリーズ作品
1.眠りの守り姫 3.守り姫の待ち人
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