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守り姫の夢
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男の子は目を覚ましました。
周りには、
いつもの景色と静かな時間が流れていました。
男の子は、眠っていたのです。
男の子が見た熱い炎や
聞こえてきた子供達や女の子の声は、
全て夢だったのです。
けれど、ただの夢ではありませんでした。
「今のは、キミが見ている夢なんだね」
男の子は、
眠り続ける女の子に言いました。
男の子が見た夢は、
女の子が見続けている夢だったのです。
女の子は永い夢の中で、
熱い炎の中、煙に巻かれながら、
一心に祈り続けていたのです。
男の子は言いました。
「もう火は消えたよ」
「皆助かったんだよ」
「だからもう起きてよ」
けれど女の子は眠ったまま、
目を覚ます事はありませんでした。
それでも、
男の子は諦めませんでした。
「きっと起こしてあげる。熱い炎の中から、絶対助け出してあげる」
今でも男の子は、
女の子を助ける為に、
毎日女の子のもとへ通っているのです。
*** 守り姫の夢 終 ***
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