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愛を胸に眠る
05 気がつけば ひとり

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 それは、夢だった。

 ただの夢だとは思えない、鮮明過ぎるけれど、ただの嫌な夢。

 淀んだ空気と巻きあがる土煙が空を曇らせ、太陽の光を遮る。

 鉄の匂いが鼻を掠めて、それは私をとても嫌な感覚にさせた。

 大きな音――銃声が重たいその空間を突き抜けるように鳴り響いた。

 人が、ヒトに向けて武器を構える。

 それは生きるモノの生命を簡単に奪い取ってしまえる、凶器。

 何度も、何度も、人はその引き金を引く。

 人が武器を向けるその先にいるのは子供で、ただ大きく目を見開いて止むことのない銃弾をその身体に浴びていた。

 1発、2発、3発、4発、……。

 やがて子供は血を吐いて、地面へと崩れ落ちた。

 抵抗する武器も、身を守る術も持っていなかった子供は、悲鳴すらあげることなく動かなくなった。

 見開かれた両目から流れ出ていたのは、涙。

「―――――っ!!」

 誰かが叫んだ。

 それは、動かなくなった子供の名前。
 その名前を呼ぶ彼もまた、子供だった。

 怒りと、悲しみと、憎悪の感情。

 抱く感情のすべてを、人へ――銃を構えた大人へとぶつける。

 大人は、目に見えない何かによって苦しみ、最後には血を吐いて息絶えた。

 血だまりの中で、子供が泣く。

 人がヒトを殺し、ヒトが人を殺す。

 殺し合いが続く。

 向けられる強い感情が、「コロシテヤル」という感情が、突き刺すように、のしかかってくる。

 それがとても、恐ろしい……。

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