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愛を胸に眠る
05 気がつけば ひとり

 目を覚ますと、朝だった。

 とても、嫌な夢を見た。
 とても、怖い夢だった。

 それはすべて夢だったのだと、いつもと変わらない静かな朝が告げているようだった。

 静かな朝。

 無機質な蛍光灯が見下ろす天井。

 ガラスの向こう側から、こちら側を観察する大人たち。

 いつもと変わらない、いつもと同じ場所に私はいる。

 けれど、いつもと変わらないはずの朝は、いつもとは違う、静か過ぎる朝だった。

「……みさき?」

 呼びかけても、返ってくる返事はない。

 美咲の姿がどこにもない。

 どんなに姿を探しても、どんなに耳を澄ましても、どんなにどんなに待ち続けても、再び美咲の姿をこの目で見ることはできなかった。

 触れることも、声を聞くことも、2度とその瞬間が訪れることはなかった。

 私はまた、ひとりになった――

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