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愛を胸に眠る
06 過去から今 そして未来へ
久し振りに、『あの日』の夢を見た。
私の能力が発現した日の夢。
それは同時に、私が美咲を殺めてしまった日の夢。
初めは、自分に発現した能力が何なのかわからなかった。
能力を持っていた『みんな』は、誰かを殺めることなんてしなかったから。
けれど、私の能力も『みんな』と同じだった。
要は、使い方次第で簡単に誰かを殺めてしまえる。
たったそれだけのことだった。
能力が発現した私は『みんな』のように、宙へ浮くことも、遠くのものを呼び寄せることも、扉の向こう側を知ることもできる。
『みんな』がそれぞれにできていたことを、私はひとりで全部できている。
それは大人たちが望んでいたことで、大人たちが望んでいたように私は完全になれたけれど、私が大人たちに同じ仲間として認められることはなかった。
大人たちとは違う、別の生き物――ネオと大人たちは名付けた。
同じような姿、同じような形、二足歩行で言葉も話せる。
それでも、大人たちにとって私は、仲間だと、同じだとは認められない別の生き物だった。
初めはわからなかったけれど、今ならわかる気がする。
私と、大人たちの違い。
能力が、あるか、ないか。
そして、死の姿。
夢の中で幾度となく見た、美咲の身体はいつまで経っても消えることがなかった。
美咲だけじゃなく、他の誰もキラキラとした粒子にはならなかった。
死は、キラキラと美しいもの。
それが、私の知る、死。
けれど、大人たちは違う。
いつまでもその身体は残され、自分たちの手で「ホウムル」のだと。
死んでも、「ホウムル」ができない私たちは、大人たちにとっては生きていないのと同じなのかもしれない。
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