生きたい気持ちが消えないように

 簡単に死ぬことができたら楽なのに――

 なんの為に生き続けなければならないのか。

 苦痛しかない「生きる」という行動を
 取り続けることが当然で、そうでなければならなくて、
 そうしないことは「悪」であると、
 どうしてそれが「正義」なのか。

 あの人が言っていた。

「自殺をするような人は病気」だと。

「遺伝的な病気」だと。

 それは、友を亡くして落ち込んでいる人にかけていい言葉なのか。

 まるで、傷ついた身体にナイフを突き立てているようだ。

 そんな人の子だから、私はこうなのだ。

 責任転嫁。

 私がどうしようもない人間――いや、生物なのは私のせい。

 私の生き方、育ち方、感じ方、捉え方。

 私を構成するすべてが、私をどうしようもない生物であることを証明している。

 私には価値がない。

 そんなこと、私が一番わかっている。

「ウチは大丈夫! 自殺するような遺伝子ないし! そんな育て方もしてないから!」

 そう言って、ケラケラと嗤うあの人に。

 ああ、確かに。

 あんたはなにがあっても自殺を選ぶようなことはしないね。

 自分の間違いは決して認めない。

 間違うようなことがあったら、そうなるようにした他人のせい。

 自分が誰かを傷つけている可能性を
 ほんのひとかけらさえも認識してはいないのだ。

 ああ、本当にどうして。

 こんな世界に生きねばならぬのだろう。

 ああ、だけど。

 生きたいと思う理由がかすかにあって。

 成したいことを成すまでは

 この生きたい気持ちが消えないように――

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